
この雑誌が発刊されたのは今から40年近く前の1972年(昭和47年)秋。当時の国鉄が蒸気機関車の完全撤廃を決定し、残り少なくなった勇姿をフィルムに、そしてこの瞳に刷り込んでおこうと、全国にSLブームが巻き起こった時期であり、こうした雑誌が撮影ガイドの実用誌として重宝されたのでした。
鉄道雑誌というと、まもなく通巻600号と創刊50周年を迎える「鉄道ファン」、終戦直後から続く老舗雑誌「鉄道ピクトリアル」と「鉄道模型趣味」、そして「鉄道ジャーナル」がいわゆる4大誌として君臨しているのですが、この「SLダイヤ情報」の存在を知るファンはそう多くはないでしょう。今では撮影ガイドに特化した「鉄道ダイヤ情報」がそのスピリッツを受け継いでいるわけですが。
ただ、一言添えておくと、かくいう私、当時この雑誌にはほとんど興味を持ちませんでした。これと同じ流れでキネマ旬報社が出していた「蒸気機関車」という雑誌もあったのですが、いずれも見ての通り、“色”がなかったわけですよ。まだ未就学児だった子供に、その良さが解るはずもないわけで。
でも、今こうして改めて目を通してみると、SL消滅(今ではイベントに重宝されているわけですがそれは置いておいて)という一大転換期の車両の動き、ファンの流れ、時代の変わりよう、そして肌感覚が、黒煙と漆黒のボディの画像と丁寧な活字から伝わってきて、40年前の空気を多少ながらかぐことが出来るから不思議です。
あわよくば、他の鉄道雑誌もこうしたかたちでいにしえのバックナンバーを電子化してくれたらと、願わずにはいられません。
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